目次
第6話ストーリー
 火曜日の放課後。
 こはるは、帰り道の夕焼けの中を歩いていた。
 ノートに書かれていた今日の課題が、頭の中で何度もくり返されている。
「自分の中の“好きなところ”をひとつ探してみて。」
 “好きなところ”——なんだろう。
 こはるは思いつかなくて、少しだけため息をついた。
 教室では、周りの子たちが楽しそうに笑いながら話していた。
 自分は話しかけられたら答えるけど、自分から話しかけるのはまだ苦手。
 そんな自分が“好き”って言えるのかな……。
 でも、ふと気づく。
 話しかけられたとき、私はちゃんと笑って返してる。
 たとえ緊張していても、相手の話をちゃんと聞こうとしている。
——それって、悪くないかもしれない。
 家に帰って部屋に入ると、机の上のノートが目に入った。
 ページを開くと、白紙のままの1ページが夕陽で少し赤く染まっている。
 こはるはペンを取り、ゆっくりと書いた。
「私の好きなところは、相手の気持ちを大事にできるところ。」
 書いた瞬間、少し胸が軽くなった。
 完璧じゃなくてもいい。
 “好き”は、誰かに褒められなくても、自分で見つけていいんだ。
その夜、ノートを閉じようとしたとき、新しい文字が浮かび上がった。
「自分を認めることは、未来を信じること。
明日は、“誰かを励ます言葉”をかけてみて。」
 こはるはノートを抱きしめて、そっと目を閉じた。
 ——少しずつ、自分が変わってきてる。
 そんな予感が、静かに胸の中で灯っていた。
今日のひとこと
「“好き”は誰かに見つけてもらうものじゃない。自分で見つけるもの。」
次の課題(ノートより)
明日は、“誰かを励ます言葉”をかけてみて。

 
			 
			 
			 
			 
			 
			
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