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【ミライノート】第4話「“自分”にもありがとう」

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第4話ストーリー

 日曜日の朝。カーテンのすき間から差し込む光が、こはるの部屋を静かに照らしていた。
 昨日までの「ありがとう3回チャレンジ」を終えたこはるは、机の上のノートをそっと開く。
 ページの真ん中には、たった一行だけ書かれていた。

「今日は、“自分”にもありがとうを言ってみて。」

 こはるは少し眉をひそめた。
 ——“自分”に、ありがとう?
 そんなの、なんだか変な感じだ。

 午前中は、お母さんに誘われてリビングで勉強をすることになった。
 お母さんは、タブレットで「効率が上がる学習法」を調べながら、こはるに言う。
「こはる、集中タイマーって知ってる? 25分で区切るとね——」
「うん、知ってる。でも今日は、自分のやり方でやってみたいの。」
 思わずそう言っていた。
 お母さんは一瞬驚いた顔をしたけれど、何も言わずに微笑んだ。

 勉強を終えたあと、こはるは窓を開けた。
 外では小さな風が吹いていて、遠くで子どもの笑い声が聞こえる。
 机に肘をつきながら、こはるは心の中でつぶやいた。

 ——今日、私、ちゃんと頑張ったよね。
 ノートも開いたし、お母さんとも落ち着いて話せたし。
 ……うん。えらい。

 深呼吸をして、胸の前で両手を合わせる。
「ありがとう、私。」

 声に出した瞬間、胸の奥がじんわり温かくなる。
 誰かに認められたわけじゃないのに、少しだけ涙が浮かんだ。
 “自分をほめる”って、こういうことなのかもしれない。

 机の上のノートが、風にめくられて新しいページを開く。
 そこには新しい文字が現れていた。

「自分を大切にできる人は、他の誰かも大切にできる。
 明日は、“誰かのいいところ”を見つけて伝えてみて。」

 こはるはそっと笑った。
 明日は、学校だ。誰の“いいところ”を見つけよう。
 少しだけ、明日が楽しみになった。

今日のひとこと

「“ありがとう、私”が言えるようになると、世界がやさしく見えてくる。」

次の課題(ノートより)

明日は、“誰かのいいところ”を見つけて伝えてみて。

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