🏢 基本情報
- 企業名:KHネオケム株式会社(KH Neochem Co., Ltd.)
- 証券コード:4189
- 業種:化学
- 所属取引所:東証プライム(PRM)
- 決算期:12月31日
📝 企業概要と特色
KHネオケムは、冷凍機油や電子材料、化粧品原料に使用される高機能化学品を製造・販売する中堅化学メーカーです。国内外において高い技術力と品質管理で評価を得ており、アジアや欧州市場でも成長を続けています。また、環境・社会課題への対応として、ESGの視点を取り入れた企業運営や、サステナブルな製品開発にも注力しています。
人的資本の分野では、性別や雇用形態にかかわらず多様な人材が働きやすい職場づくりに取り組み、労使関係の安定化にも積極的に関与しています。
👶 育児休業制度と人的資本戦略
KHネオケムでは、育児休業制度の利用実績が高く、特に男性社員の取得率が100%を超えるなど、業界内でも先進的な取り組みがみられます。
主な取り組み内容:
- 男性育休取得率:105.0%(2024年度実績)
- 女性管理職比率:7.7%(やや低水準)
- 男女賃金差(正規):女性83.5%と明確に開示
- 労働組合(UAゼンセン)との連携による働き方改革推進
ただし、育児制度を取り巻く戦略的な方針や、キャリア支援制度の体系化については情報が少なく、今後の整備と開示に期待が集まります。
📊 定量的実績・数値目標
指標 | 内容 |
男性育休取得率 | 105.0%(2024年) |
女性管理職比率 | 7.7% |
男女賃金差(正規) | 女性:83.5% |
労働組合 | UAゼンセン所属、組合員数:549名 |
平均年齢/勤続年数 | 40.6歳/14.9年 |
平均年収 | 約698.9万円(2024年) |
このように、定量的な情報開示は比較的充実していますが、育成制度や定性的な評価指標については、開示の拡充余地が残されています。
🌱 制度の強みと独自性
KHネオケムの特徴的な点として、男性の育休取得率が100%を超えていることが挙げられます。これは、出産タイミングの年跨ぎに伴う影響もあるものの、制度が実際に活用されている証左といえるでしょう。
また、女性社員の育児休業復帰率も高く、制度自体の整備状況は良好です。ただし、女性管理職比率が7.7%と依然として低く、キャリア形成の観点ではギャップが存在します。
加えて、男女賃金差についても丁寧な分析を開示しており、賃金構造や育児期間中の影響などに基づく差異の説明も添えられていることは、透明性の面で高く評価できます。
一方で、数値目標の設定やキャリア支援制度(研修、ロールモデル提示など)の具体化は見られず、今後の人的資本戦略の深度化が求められるフェーズにあるといえるでしょう。

📚 制度から見る働き方のヒントと今後の展望
KHネオケムでは、一定の制度整備と実績をもとに、今後は育児休業制度を“取得しやすい”だけでなく、“活用しやすく、キャリアを途切れさせない”仕組みへと深化させていくことが鍵となります。
- 男性育休の高取得率は評価ポイントであり、他社との比較においても大きな差別化要素です。
- 一方で、女性活躍に関する数値目標(例:管理職比率15%以上など)や、明確な育成方針の提示がなされていない点は今後の課題です。
- 育児期における時短勤務・柔軟勤務などの制度展開が見える化されれば、育休制度と組み合わせた“育児期キャリア設計”も可能になります。
- 多様な人材が定着・活躍するためには、社内での意識醸成とマネジメント研修の連動が不可欠です。
さらに、人的資本開示の潮流が強まる中、同社のような中堅製造業においても、ESG・SDGs・ダイバーシティ経営との接続が重要になります。
KHネオケムがこのような取り組みを具体化できれば、既に整っている制度の上に「働きやすさ」「成長実感」「公平性」が加わり、持続的な企業価値向上にもつながると考えられます。
※本記事は2024年12月期の有価証券報告書をもとに作成しています。
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